私が行ったAGAクリニックではデュタステリドで生殖能力が落ちると言われたことはなかったです。せいぜい
添付文書にはどう書いてあるか?
素人が下手なこと言えないので、メーカーの出している添付文書を見てみます。
ザガーロ(デュタステリドを成分にした商品名)は男性ホルモンの一種のテストステロンが脱毛を促すジヒドロテストステロン(DHT)に変換されるのを抑制する薬ですが、副作用として、発売前の臨床試験で、性欲が落ちる副作用と共に勃起不全が出てます。
それでは、どれくらいの割合で出るのでしょうか?ザガーロの添付文書には2つの試験での副作用が書いてます。
まず最初は557人にザガーロを投与した試験。これでは95例、17.1%で何らかの副作用が報告されてて、そのうち主なものが勃起不全4.3%、性欲減退3.9%、精液量減少1.3%でした。
この557人のうち日本人は120人なので、この人たちだけで見てみると副作用が11.7%(14人)で発現してます。その内、性欲減退が5.8%(7人)、勃起不全が5.0%(6人)、射精障害が1.7%(2人)でした。
次の試験では何らかの副作用が出た人が16.7%(20人)。で、主なものが、勃起不全10.8%(13人)、性欲減退8.3%(10人)、射精障害4.2%(5人)でした。
性欲減退とか勃起不全とが両方出た人もいるので、単純に足せないんですけど、まあ概して1割くらいの人に生殖機能系の副作用が出てるってことでしょうか?
vs. フィナステリド
ちなみにこれはフィナステリドより高いんでしょうか?同様にフィナステリド、商品名プロペシアの添付文書のデータ調べてみますと、確かに若干高いかも。
276人にプロペシアを投与した時は、性欲減退で1.1%(3人)、勃起不全0.7%(2人)でした。
ただし!別の試験を見ると、この「起たない」的な副作用はプラセボと呼ばれる偽薬(成分が入ってない薬)でも出てるので、思い込みというか心理的な要素が影響している可能性はあるでしょうね。
「この薬は男性ホルモンを抑える」と医師に言われたら、「男性機能に影響しそう・・」って考えちゃって、起たなくなったり、性欲が落ちたり、しても不思議じゃないですわな。
*プラセボ
ウソの薬。薬を承認するときとかに薬の有効性を証明するための一つの方法として、ウソの薬を飲ませた場合と比べて効果が高いかどうかを示す方法があります。ちなみに、ニセの薬でも「これ飲むと抜け毛が減る薬」と言われると効果が出るし、一方で副作用も出ます。一応、元製薬会社社員として偉そうに解説してみました。
ここで、上で書いてる「精液量減少」が気になった人もいるかもしれないので、ちょっと触れておきます。といっても、良い悪いは判断できないので事実だけを書きますね。
上に書いてる通り、557人(日本人は120人含む)にデュタステリド(ザガーロ)を投与した試験では、精液量減少を訴えた患者は1.3%(7人)出ました。日本人だけで見ると、射精障害を訴えた患者が1.7%(2人)となってます。
別の試験では精液特性を調べてます。これは海外の臨床試験ですけど、1年間デュタステリドを飲ませた後、総精子数は23%↓、精液量は26%↓、精子運動率は18%↓となりました。一方、精子濃度や精子形態には変化が見られませんでした。この結果に対する評価は重大な変動(30%以上)には至ってないので正常の範囲内としています。
また、2人が52週投与後90%を超える精子数の減少が認められてそうですけど、その後24週後には改善しました。こうした精液特性上の変動が、生殖能力にどう影響するのかは分かりません。とのこと。
ちなみに、フィナステリドでも同様の副作用は報告されてて、こちらも飲むのを止めたら、精液の質が正常化または改善したとのことです。
なお、精液量減少についてアメリカの毛髪再生医療の権威、コロンビア大学のバーンスタイン教授は次のように説明しています。
精液は睾丸で作られる精子と、前立腺で作られる粘度のある液体に分けられます。フィナステリドは前立腺を縮小させるので(元々、前立腺肥大症の薬でした)、(液体が減って)精液の粘度が落ちます(水っぽくなる)。
ってここまで読んだら、なんか心配になるかもしれませんけど、素人が良い悪いって思い悩んでもしょうがないので、気になる人はAGAクリニックの医師に聞きに行く事をお勧めします。
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