AGAとはAndrogenetic Alopeciaの略で、思春期以降の男性の脱毛症を指します。
長年の研究の結果、現在では薄毛や抜け毛に悩む男性のほとんどはAGAであることが分かりました。その割合は95%以上!ほとんどの薄毛の人はこのAGAに当てはまります。
人数で言うと、日本全国で約1,260万人。これは、成人男性の3人に1人がAGAであることを示しています。
よく「俺の薄毛はAGAではない」とか言っている人がいますが(私がそうでした)、
だそうです。
AGAってどんな薄毛?
見た目=NH分類+高島分類
AGAを深刻度に応じてⅠからⅦまでの7段階に分類してます。こういうイラストですね。
額の生え際から後退するタイプや、頭頂部のつむじのあたりから薄くなっていくタイプなど、いくつかの薄毛のパターンがあります。
もっと単純化して、M(生え際)、O(頭頂部)、それらのミックスという風に大別しちゃうところもあります。
診断方法
このイラストを見て、
俺のはちょっと違うなあ。AGAでないかも。
と思う人もいるかもしれませんけど(僕がそうでした)、このイラストに当てはまらなくとも、AGAである場合が多いとか。
例えば、僕がAGAクリニックでされた診断方法はもっと大雑把でした。
- 家族に薄毛の人がいるか等の問診
- マイクロスコープという顕微鏡カメラみたいなもので、後頭部と前頭部、頭頂部の生え際を拡大写真で撮影して、後頭部の毛と比較して、前頭部や頭頂部の毛穴から毛が1本しか出ていなかったり、出ている毛が細く、短かったり、する
という事を根拠にAGAと診断されました。
それ以外にも、AGAリスク遺伝子検査(AGA関連遺伝子発現量の測定)、アンドロゲンレセプター遺伝子検査といったもので、遺伝子レベルで正確に診断することもできますけど、あまりやるところ多くないみたいです。
測った結果がどうあれ、治療法があまり変わらないので「あまり意味がない」という医師もいました(当診断をやってる先生は「使い方、わかってないんだよ」ともおっしゃってましたが・・)。
AGAの原因
ズバリ!遺伝です。
と聞くと
と意気消沈してしまうかもしれませんけど、安心してください。
生まれつきの体質を変えられなくとも、薄毛のプロセスを"妨害"することはできます。
それが現代のAGA治療の中心です。
AGAのメカニズム
AGAは、ジヒドロテストステロン(DHT)という物質が毛根の細胞にくっつくことで発症し、脱毛を促すと言われています。
そもそも、髪の毛は、髪の毛を成長させる成長期(数年)、毛が抜けていく退行期(数週間)、毛穴はあるが毛の生えていない休止期(数か月)というサイクルを繰り返しています。
DHTはこのサイクルの内、成長期を短縮してしまうので、髪の毛は太く長く育つことなく、抜けて行ってしまいます。
この悪玉男性ホルモンDHTの産生に関わっているのが5α還元酵素です。男性ホルモンの一種テストステロンに働きかけて、原因物質DHTを作っています。
この5α還元酵素の量や活性は人によって異なり、多い人や活性の高い人は薄毛になりますが、少ない人はたとえ男性ホルモンが多くともDHTが作られないので薄毛にはなりません。
その量や活性を決めるのは、"遺伝"です。
AGAの治療法
現代医療では5α還元酵素の量や活性をコントロールする、のではなく、このメカニズムのどこかにくさびを打つことが主眼となっています。
その中心にあるのが、フィナステリドです。
フィナステリド
フィナステリドは成分の名前で、商品名はプロペシア。世界中でAGA治療に使われる特効薬です。
この薬は、5α還元酵素を邪魔することでDHTをテストステロンから作られないようにして、AGAの進行を防ぎます。
この薬を開発したアメリカの製薬会社メルクは、メキシコに5α還元酵素が生まれつき欠損している家族がいて、この人たちは健康上何も問題を抱えていなかったけれど、共通して、前立腺肥大症や薄毛とは無縁だった、という事実から着想を得て開発しました。
ほぼ100%の効果を発揮するこの薬が1990年代に世に出て以来、薄毛は「遺伝とあきらめざるを得なかった」ものから、「治療できる」ものになったと言っていいでしょう。
現在では、同様の作用でさらに強力な効果を持つ薬としてデュタステリド(商品名ザガーロ)があります。
ミノキシジル
この薬は、まだ完璧にメカニズムが解明されてはいませんが、病院に行くと、
といった説明をされます。
この薬は元々、高血圧の薬で、血管を拡張する作用があります。この薬を飲んでいる患者の副作用として全身に毛が生えてくるものがあったことがきっかけになりました。
飲み薬としては色々と使い方に注意が必要だったので、1/1000とかに薄めた塗り薬として開発したのがリアップです。
アメリカなど欧米各国でもミノキシジルの塗り薬5%のものが標準的に使われています。
この薬も90%以上の人に効果がありますが、作用上AGAのメカニズムを阻害するわけではないので、フィナステリドほどではありません。
なお、AGAクリニックでは、飲み薬も、容量が2.5mgとか5mgといった超低用量ですが、処方されます(高血圧の場合の容量は~100mg)。
メソセラピー
頭髪の薄くなったヵ所に有効成分を注射する治療方法をメソセラピーといいます。
注入する成分には先ほど説明したフィナステリドやミノキシジルを入れる所もありますが、成長因子を入れる病院が多いです。
成長因子というのは、なんでも、脂肪組織の幹細胞から抽出したタンパクで、直接毛根に働きかけて、髪の毛の成長を促す作用があるとか。
幹細胞と聞くと、色々な体内器官に分化する万能細胞!ということで、再生医療を思い浮かべる人もいると思いますが、着想はそこからきています。
これも効果が高く、多くの病院で90%以上の効果をたたき出しています。ただ、費用は薬と比べるとかなり高額です。
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自毛植毛
AGAの影響を受けにくい後頭部や側頭部の髪の毛を毛根組織ごと、薄くなった部分に移植する治療法です。
昔の植毛のイメージは、植えたのがバレバレ、不自然、といったものだったかもしれませんが、今は技術の進歩により、ほぼ判別不可能なほど自然な仕上がりになります。
蛇足ながら、AGA治療への誤解があるようなので一言。
世の中ではこのような間違った認識が広がっていますね。
AGA治療は男性ホルモンを抑える。なので胸が大きくなったり女性化が進む。
ンな訳はない!のは上の説明でお分かりですよね。僕はお医者さんにこう言われました。
AGAの治療費
医療機関での男性型脱毛症=AGAの治療は自由診療になり、公的医療保険が適用されないため、全額自己負担になります。
その自己負担額ですが、フィナステリドやミノキシジルといった薬物療法をまとめてやると月々2-3万円かかります。
フィナステリドだけでしたら5千円/月前後です。
メソセラピーは、半年間、毎月1回注射するところが多いですが、1回の注射で2万円~18万円と病院によってばらつきがあります。
自毛植毛は、1回やったらメンテナンス代は掛かりませんが、その1回の支出が大きいです。
植毛数や術式によりますが、50~60万円から、と考えておいた方が良いでしょう。
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