（医師の見解）FUEは誰でもできるわけではないーFOXテストとは？

自毛植毛の手技には、大きく分けて、メスを使って後頭部の頭皮を切り取るFUT法と、一つ一つ移植株をくり抜くFUE法がありますが、最近はFUEが「切らないで済む」ってことで圧倒的な人気です。でも、本当はそれぞれメリット・デメリットがありますので、早計には決められないようです。

こうしたメリット、デメリットの他に、そもそもFUEに向いていないタイプの人がいるそうです。アメリカでは、ちゃんとした自毛植毛クリニックならFUEの手技を希望した患者には事前にFOXテストをするそうです。

どんなものかというと、FUE法の場合、移植株を引き抜く時に移植株を頭皮から引き抜く時に途中で切れてしまったりするリスクがあります。そのリスクがどれくらいなのか事前に調べるテストだそうです。で、もし結果が良くなければ、FUTを勧めるそうです。

ってことは、クリニックはFUEだけでなくFUTも得意じゃないとダメですね。ということで、アメリカでも、FUEしかやっていないクリニックはこのテストを飛ばしてしまうんだそうです。だって、テストでマイナスの結果が出たらキャンセルされてお金が入らないからですって。ひどいですね。

これ、調べたんですけど日本語では出てきませんでした。もしかしてそれが理由で日本で広まってないんだとしたら、FUEしかやらないクリニックも多いし、だから・・・。そんなことないですよ、たぶん。余りに当たり前すぎて書いてないだけかもしれません・・。

このテストについて、FUTを考案し、FUEを世界中に広めた世界的権威のバーンスタイン氏が解説してくれています。

Can an FUE Hair Transplant Repair a Scar on My Scalp?

 

FUEの植毛手術で頭皮の傷を隠せますか？

2009年4月17日

質問

頭の傷を隠したいのですがFUEの適応かどうか教えていただきたく。先生のホームページを見ると、FUEが妥当か見るためにFOXテストが必要だということがわかりました。しかし、先生にお問い合わせした時は必要ないとのお答えでした。なぜでしょうか？教えてください。

回答

FUEで自毛植毛手術をするときは、すべての患者さんにFOXテストをやります。しかし、傷の修復や眉毛の植毛の場合は、普通やりません。なぜなら、移植毛の数が少ないからです。

FOXテストの目的は、FUEが効率的な方法ではない患者、例えば株を採取する間に株が切れたりダメージを受ける率が高い人を見つけることです。もしこのテストでそうだと判断された場合、私は自毛植毛自体を取りやめます。なぜなら、そのちょっとした歩留まりの低さ（株が切れたり、植えたあと死んだりして生着率が低いという意味で）だったとしても、数千の株を植毛する時には大きな問題になることがあるからです。

ご存知でしょうが、FUTとくらべて、FUEは、そもそも歩留まりの悪い手技です。例えばノーウッド分離で3くらいの人に小規模の植毛をした場合でも、そういう人は歩留まりが悪いので、最終的には大量の移植株が必要になるだろうと予測する必要があります。だから、FOXテストは重要なんです。

しかし、移植する株数が少ない時、例えばキズの修復や眉毛の植毛の場合は、少々の歩留まりの悪さが問題になることはありません。

最後に、もしFUEの植毛手術が始まってから、移植株を引き抜くことが難しいために中止した場合、患者は、FUTに切り替えられるか、途中で終わるかです。いずれにしろ望ましい結果ではありませんね。

 

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