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(医師の見解)若者はなぜ自毛植毛してはいけないか?

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なぜ若い人が自毛植毛を避けるべきなのか、自毛植毛の世界的権威、コロンビア大学医学部教授のバーンスタイン医師が解説してくれています。

バーンスタイン先生

Candidacy for a Transplant

若者への自毛植毛の適用

AGA男性型脱毛症による抜け毛を経験している若者の中には、自毛植毛だけが自分の薄毛を解決してくれる唯一の方法だと思い込む人がいます。

こういう人は性急に事を運ぼうとして、医者が診察に基づいた様々な治療の選択肢を提示するのも聞かず、自毛植毛してくれと強く主張してきます。

また、手術をすれば中学生・高校生の時と同じような生え際と毛密度(フサフサ感)を取り戻せると思っています。

我々は、こうした要望を25歳未満の若い人から受けても自毛植毛を勧めることはありません。

  1. 患者が若いと一生毛の生え続けるゾーンとそうでないAGAの影響を受けるゾーンとの境目を見分けるのが困難(ほぼ不可能)。
  2. 若い患者のドナーエリア(植毛する髪の毛を採取する後頭部・側頭部の特定エリア)が年をとってもAGAの影響を受けないかどうか見分けるのが困難(ほぼ不可能)。
  3. AGAの発症が早ければ早いほどそれだけ、将来禿げが広範囲に広がる可能性がある(自毛植毛をしても意味がないくらい広がる)。
  4. 若い人ほど植毛に過度の期待を抱き、もっとフサフサの密度にしろ!生え際の位置をもっと下げろ!と非現実的な要望をしてくる。
  5. 若い人は将来どのような髪型にしたいか固まっていない。

順番に説明します。

1.一生毛の生え続けるゾーンの境界線

一生毛の生え続けるゾーン=永久ゾーンがどれくらいの範囲で、どのような形状で広がっているのか、見極めるのは若い患者ほど困難です。

どの毛髪でミニチュア化(毛が細く短くなるAGAの典型的な症状)が起きるか、分からないからです。20代では非常に安定している(フサフサに生えている)ように見えた箇所が後々禿げあがってしまうことは十分あり得ます。

この問題は、今人気のFUEの場合さらに深刻になります。一般的に、FUEはFUT(メスを使って頭皮を切り取る手技)に比べ5倍のドナーエリア(移植する髪の毛を採取する個所=一生毛の生え続けるエリア)を必要としますので、なおさら将来どこら辺まで禿げるのか(特に後頭部の上の方はどこまでドナーエリアか)正確に把握することが重要になります。

そうしないと、FUEで後頭部の頭皮から一つ一つ毛髪をくり抜いた痕が、周囲の毛が薄くなったことにより目立ってくる恐れがあるからです。

こうしたリスクにもかかわらず、FUEは特に若者に人気の手技なので、この問題が大きくなる可能性をはらんでいます。

 

2.ドナーエリア(移植する髪の毛を採取する部分)の安定性

ほとんどの患者ではドナーエリアは年をとってもDHT(AGAによる抜け毛の原因物質)の影響を受けません。

しかし中には、DUPAと呼ばれるびまん性に脱毛症状が広がる珍しいタイプの症状が、急に出る人がいます。

このDUPAになると、ドナーエリアは不安定になり時間とともに薄くなっていきます。

もし、植毛手術を若い人で行い植えた毛が、実はDUPAだったと後になって判明した場合、植えた毛はDHTの影響を受けるので抜けてしまいます。

加えて、ドナーエリアの髪が抜けて薄くなった結果、その下に隠されていた植毛手術の痕が目立ってくる恐れがあります。

これはFUTの線状の痕だけでなく、FUEの小さな丸い痕でも目立ってきてしまう恐れがあります。

現在DUPAを診断する血液検査はありません。そのためドナーエリアのミニチュア化(毛が細くなり短くなる症状)を見て診断するしかありません。しかし、ミニチュア化は早期の場合、発症しませんので診断はほぼ不可能です。

結局、ドナーエリア(移植する髪の毛を採取する個所)がDHTの影響を受けない安定した髪なのかどうかは、若いうちには判別がつかないのです。

 

3.将来、薄毛面積の広がる可能性が高い若ハゲ

AGAの発症年齢が若ければ若いほどそれだけ、将来広範囲に禿げが広がる恐れがあります。広範囲に禿げが広がってもそれをカバーするだけの移植毛を確保することはできません。

若い方なら深くなったM字部分の生え際(AGAの典型的な症状です)に植毛したいと思うかもしれませんが、そうすると将来、後悔する結果になりかねません。

例えば、前頭部が広範囲に禿げているのに生え際だけ毛がフサフサに生えているのはかなり変な見栄えになります。

 

25歳未満の患者の場合、薄毛が将来どれくらい進行しそうか、ある程度予想できるようになるまで、植毛手術を行うのは待つべきです。

それまでは、フィナステリド(商品名プロペシア)やミノキシジル(商品名ロゲイン)を使って今ある髪の毛を保つ事、これが最も理にかなった治療法です。

 

4.期待値の高さ

つい最近毛が抜け始めた人は、昔のフサフサの髪や、低い生え際の記憶が鮮明に残っていますので、自毛植毛手術がその状態に戻してくれるものだと期待してしまいます。

しかし、ほとんどの人にとって、それは不可能です。特にすでに広範囲に禿げの広がった人はムリです。

もし早めに植毛をしたとしても、AGAが進行した結果、植毛部分の生え際には毛が残ってるものの、それ以外の禿げが広範囲すぎて移植株が足りない、なんてことになりかねません。

広範囲に禿げてしまった若者にとって、残された選択肢の一つはベリーショートにすることですが、植毛してしまうと、ドナーエリア(移植する毛穴組織を採取した個所)の傷痕があるので(FUTでもFUEでも)、これもできません。

多くの場合、頭皮全体をカバーする移植毛を確保することはできません。しかし、生え際から前頭部にかけて植毛し頭頂部は植毛せずに薄いままにしていても、オールバックにすれば見栄えは良くなります。

しかしこの髪形は若者にしてみたらイヤでしょうから、その場合は薄くなった部分が目立たないようベリーショートにするのがベストかもしれません。年を取って現実が見えてきたら、自毛植毛をもう一度考えたらよいと思います。

 

5.将来の髪型

若い時には薄くなった部分をカバーするのに十分な髪が採れるかもしれませんが、禿げが広範囲に広がるとすべての薄くなった部分をカバーするには移植毛が足りなくなります。

特に頭頂部に植える毛が足りません。

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これを解決するには、先ほど説明したように、前頭部や生え際に植毛を受けた人なら髪を伸ばしてオールバックにすれば頭頂部を隠せます。

もう一つは、逆にベリーショートにしたり、剃って頭頂部の禿げが目立たないようにする髪形ですが、こちらの方がマシかなと思っても、若い時に植毛すると後頭部に手術痕が残っているので(FUEでも小さな丸い痕が無数に残ります)、この選択肢を採れません。

 


 

という事でした。

逆に25歳未満のあなたに何の躊躇もなく自毛植毛を勧めてくるクリニックには注意したほうが良さそうですね。

 

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