（医師の見解）20代前半では植毛を避けるべき理由

若いうちにAGAが進行した場合、切羽詰まって、自毛植毛を選択肢として考え、自毛植毛クリニックに押し掛ける人が多いそうです。ただ、しっかり先を見据えてやらないと、特に頭頂部付近の植毛は、後々面倒な結果になるかもしれないとか。

自毛植毛の世界的権威の医師、アメリカ、コロンビア大学教授のバーンスタイン先生の意見を紹介します。

 

若いうちに頭頂部に植毛するのは止めた方が良い理由

2016年3月17日

What Problems Can Arise from Transplanting the Crown Too Early?

質問

若いうちに頭頂部へ植毛しない方が良いというのはなぜですか？

回答

もし抜け毛（AGA男性型脱毛症）が進行していると、ほとんどのケースでそうですが、頭頂部の禿げが拡大し、植毛した個所がポツンと残り、"島"みたいになることがあります。

植毛医は、この"島"の周りの薄くなった箇所に新たに植毛する必要がありますが、上の画像で分かる通り、広範囲な場所に植えなければならないので、大量のグラフト（移植株）が必要になります。

往々にして、若すぎると移植可能な毛髪数＝移植株の数がどれくらいあるのか判断が難しくなります（AGAの影響を受けない＝植毛可能な毛がどこまでなのか、若いと分からない）。

分かったとしても、この広範囲の薄毛部分をカバーするには移植株数が足りない場合、頭頂部の”島”は周囲と隔絶したままになってしまいます。

さらに重要なことに、その”島”の周囲を埋めるのに移植株を使い果たしてしまうと、見た目上もっと重要な"生え際"や"前頭部"に植毛できなくなってしまいます。

生え際や前頭部は頭頂部よりも見た目に与える影響が大きいので、植毛手術を計画する時は第一優先とする部位です。

年をとっても頭頂部しか禿げない家族歴がある場合は、AGAの進行度が初期であっても植毛を選択肢に入れることがありますが、これは例外です。

従って、あなたのような若者がそれでも頭頂部の植毛治療をしたい場合、または、これからどれくらい禿げるのか分からない人の場合には、頭頂部の植毛密度を濃くしてはいけません。そうすれば、将来、重要な生え際や前頭部に植毛が必要になった時に備えて移植株を取っておけますので。

 

 いつ移植可能な株数を見積もったらよいでしょうか？

2011年11月23日

When To Assess One’s Donor Supply?

質問

24歳男性、最近髪が薄くなってきました。そこで病院に行ったのですが、医師に自毛植毛するには若すぎると言われました。しかし、私の見た所、後頭部や側頭部はフサフサに毛が生えています。やはり、今はまだ植毛すべきではないのでしょうか？将来抜けてからでは遅いのではないかと心配しています。

回答

植毛をしても大丈夫かどうか判断する基準は、十分な数の「将来抜けない」移植毛があるかどうか。これが最も重要です。

抜け毛が初期段階の場合、医師はこの判断ができません。なぜなら、誰でも若いうちは、ドナー箇所（移植する毛髪を採取する後頭部や側頭部）にはAGAの兆候が表れていないからです。

生え際や前頭部でAGA（男性型脱毛症）がかなり進行して初めて、ドナー箇所のAGAも進行し始めます。移植株をどれくらい採取できるか見積もれるのはその時になってからです。

これまでも、ドナー箇所（後頭部や側頭部）が禿げる前の段階で植毛をすべきか議論されたことはありましたが、土台、ムリな話だと思います。

なぜなら、若いうちに植毛すると移植毛が生え続けるかどうか分からないからです。もしドナー箇所がAGAの影響を受ける毛を含んでいたら、その毛は"引っ越し"した先で抜けてしまいます。

さらに、移植株を採取した時にできたドナー箇所の手術痕が、周囲の髪の毛が抜けることで目立ち始めるリスクもあります。この問題は、患者がFUT、FUEどちらの手技で植毛手術をしても起こりえます。

「患者の年齢」は自毛植毛の可否を決める重要な要素です。若い人のドナー箇所は誰でもフサフサで、問題ないように見えます。しかし、年を取ればそれだけ、ドナー箇所が変質していく可能性が高くなります。言い換えれば、患者が年を取っていればそれだけ、我々医師も自信をもってどれくらいの株数が採取できるのか正確に見積もれるのです。

一般に、どこのドナー箇所が安定しているか見積もれるのは25歳未満の患者では非常に困難です。

 

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