PRP療法で発毛？

ニューヨークヤンキースの田中将大投手が行ったことで一躍世間に知られたPRP療法。

それが薄毛の治療に使われる？どういう事でしょう？

アメリカ、コロンビア大学の教授で世界的な毛髪再生の権威であるBernstein医師の意見からまとめてみます。

 

PRP療法とは？

PRP（＝Platelet-Rich Plasma＝血小板が豊富な血漿）とは、患者から採取した血液を遠心分離器にかけて、血小板濃度の高い血漿を取り出し、それを頭皮に直接注射する治療法です。

血小板には様々な成長因子が含まれているので、発毛を促す可能性が期待されています。

 

PRPは組織を修復する？

PRPは、正常な血液と比べると約3〜5倍の血小板を含む濃縮血漿。血小板由来増殖因子（PDGF）、血管内皮増殖因子（VEGF）、トランスフォーミング増殖因子（TGF）含んでいて、これらは傷ついた組織を修復してくれます。

どういうことかって言うと、例えば、ケガしたり組織を痛めたりすると患部に血小板が集まってきて、傷を治し始める＝再生を促す作用があるそうなんです。

この血小板の”再生力”を利用したのがPRP療法。

 

PRPから放出される成長因子

1. 血小板由来増殖因子（PDGF） - 血管増殖、細胞複製、皮膚形成を促進する。
2. TGF-β - 細胞間のマトリックスの成長、骨代謝を促進する。
3. 血管内皮増殖因子（VEGF） - 血管形成を促進する。
4. 表皮成長因子（EGF） - 細胞増殖および分化、血管形成、コラーゲン形成を促進する。
5. 線維芽細胞増殖因子（FGF-2） - 特殊細胞の増殖および血管形成を促進する。
6. インスリン様成長因子（IGF） - 体内のほぼすべてのタイプの細胞における正常な生理機能の調節因子。

 

今では、野球やテニスで傷んだひじの炎症やしわ取り等を目的とした治療に使われているちゃんとした治療法で、ヤンキースの田中投手がやったのが、まさにこれですね。

 

PRPと発毛効果？

PRP療法は、毛包の成長を促し、AGAでよくみられる毛包のミニチュア化を食い止めると考えられています。

その結果、男性や女性の薄毛に悩む人に、PRPを注入することで、細くなった髪の毛を刺激して太く育てたりする可能性が指摘されています。

そういう意味では全くのツルツルでは効果は薄いというのは今までのメソセラピーと一緒です。ただ、作用機序が違うので併用する価値があるかもしれません。

また、自毛植毛の手術後に、PRPを注射したり、スプレーしたりすることで、移植した個所の傷の治りが良くなったり、移植痕が残るのを防いでくれたりすることが期待されます。

 

安全なの？

上でも書いたように、傷を治したり、傷ついて炎症を起こしている組織を回復させたりする効果を期待して、２０年以上にわたって、口腔外科、脳神経外科、美容外科、整形外科の分野でPRP療法は行われてきてますので、PRP自体の安全性は確立しているそうです。

 

まとめ

現段階では、薄毛治療でのPRP療法はまだ新しく、有効性を検証した科学的な試験が数えるほどしかありません。

したがって、フィナステリドやミノキシジルのような高い発毛効果が期待できる！と言える段階ではないですけど、作用が全然違うので、有効性が確立すれば、プラスαの発毛効果をもたらしてくれる可能性があるそうです。

 

参考資料

• Bernstein Medicl Center For Hair Restoration
• Orange County Hair Restoration Center

 

どこで治療を受けられる？治療費は？

欧米のクリニックでは毛髪再生目的でPRPを頭皮に注入する治療が行われています。日本では、僕が知ってる限りでは、HARG治療センターでHARG療法終了後にやってくれるそうです。

ただこれも、発毛目的というより、注射を刺した痕を早く回復させてあげるためです。

なお、PRP療法は、フィナステリドの処方とかメソセラピーみたいにどこのAGA病院でもできる治療ではなくて、厚生労働省に再生医療施設として届け出る必要があり、それが受理されないと、やってはいけないそうです。