フィナステリドは女性に効かないとされています。実際フィナステリドを成分とした商品であるプロペシアの添付文書にも次のような記載があります。
女性に対する適応はない。〔海外で実施した閉経後女性の男性型脱毛症を対象とした12か月間のプラセボ対象二重盲検比較試験(n=137)において、フィナステリドの有効性は認められなかった。〕
この記述のもとになった試験をちょっと見てみましょう。カリフォルニア大学サンフランシスコ校の文献です。
Lack of efficacy of finasteride in postmenopausal women with androgenetic alopecia
フィナステリドとは?
フィナステリドとはタイプⅡの5α還元酵素阻害薬で、テストステロンからジヒドロテストステロンへの転換を阻害することにより血中、頭皮中のジヒドロテストステロン濃度を下げる薬。
試験目的
男性型脱毛症(AGA)の症状を呈している閉経後女性でのフィナステリドの有用性を検証すること。
試験方法
1年間にわたり、複数の施設において、プラセボ(見た目は薬そっくりの偽薬)との二重盲検比較試験を実施しました。対象者は41歳から60歳までのAGAの症状のある閉経女性。1日1㎎のフィナステリドを服用してもらってます。
試験結果
1年間の服用後に、偽薬を飲まされ他グループと、フィナステリドを飲んだグループとで髪の毛の数に違いがありませんでした。
どちらのグループも、前頭部や頭頂部にかけて毛髪数が減少。同様に、患者や医師による評価、または写真による評価でも両グループ間で差は出ませんでした。
ちなみに、重大な副作用はなかったようです。
結論
AGAの症状の出た閉経後女性に、フィナステリドを1日1㎎、1年間飲ませても、発毛効果や、薄毛の進行を遅らせる効果は見られませんでした。
という事で、女性にフィナステリドをやってもしょうがないよという事のようです。この試験を主導した医師はミノキシジルの効果は認めてますが。
なお、この試験が、二重盲検法という患者にも医師にも本物の薬かニセの薬か知らせない厳密なやり方で大規模に行った試験としては、唯一のものだそうです。
ちなみに、なぜ閉経後女性なのか?というのは、もしかしたら起こるかもしれない副作用を避けるためです。
フィナステリドは男性型脱毛症=AGAの原因物質であるジヒドロテストステロンを作らせない薬ですけど、この物質は一方で非常に重要な役割を果たしています。その主なものとして子供の外生殖器=ちんちんの正常な発育があるそうです。
なので、子供はもちろん、妊娠する可能性のある女性には飲ませられないので、閉経後の女性としているそうです。
女性には、パントガールやパントスチンなど、他にも効果の期待できる薬がありますので、一度病院に相談に行った方が良いですね。
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