自毛植毛病院業界は市場が拡大しています。それだけ、AGAに悩む人がおり、自毛植毛の素晴らしさが認知されてきた結果でしょう。
一方で、こうした"おいしい市場"に参入するクリニックが増え、中にはインチキな病院もあるとか。
アメリカでは、こうした現状に対し、FUT、FUEを世界に広めた世界的な自毛植毛の権威であるラスマン氏が学会の席上で医師に向け”怒り”の演説をしました。
残念ながら、その中で説明されている手口は、日本のクリニックにも当てはまります。実際、数々の自毛植毛クリニックをさまよった僕の経験から言っても、
と思い当たる所も。コロッと騙されないために、患者側もリテラシーを高めておかないといけませんな。
反倫理的な行動をとる悪徳医師について
2009年10月6日 W.ラスマン
最近自毛植毛界で反倫理的な手術が横行しています。昔からこの手の手術はありましたが、手を染めているのは限られた医師だけでした。しかし、不景気のせいでしょうか、最近こうした手術を行う医師が増えています。実際、我々のクリニックにそうした患者が駆け込んできています。下に記載したのは典型的なやり口です。
1.自毛植毛の必要のない人に売り込む。
最近、AGAではなく、単に大人になって変化した生え際("そり込み"が入る)を”治す”ために自毛植毛を受けた若者が困って私のクリニックに駆け込んでくることが増えています。
18~22才といった非常に若い人たちで、髪のミニチュア化(AGAの影響で毛髪が細く短くなること)が初期段階の人たちは、植毛手術をする必要は全くありません*。まずすべき治療はFDAに承認されている薬物治療(フィナステリド、ミノキシジル)をしっかり1年間は行うことです。
*若すぎるとAGAが将来どこまで進行するか読めないためいろいろ面倒な問題が引き起こされます。
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(医師の見解)20代前半では植毛を避けるべき理由
若いうちにAGAが進行した場合、切羽詰まって、自毛植毛を選択肢として考え、自毛植毛クリニックに押し掛ける人が多いそうです。ただ、しっかり先を見据えてやらないと、特に頭頂部付近の植毛は、後々面倒な結果に ...
2.必要以上に多く植毛する。
毛髪のミニチュア化もそれほど進んでおらず、AGA症状も明らかではない患者に、数百、数千の移植株を植え付ける医師がいます。初期のクラス3くらいのレベルのAGAの患者に、3,000~4,000株植えるなんて信じられますか?このような限られた移植株の"無駄遣い"とでも言うべき、ひどい植毛手術が最近横行しています。
3.将来の禿げを防止するという名目で全く薄毛の進行していない部分に植毛する。
"禿げ家系"の人には、抜け毛を見ると「このままでは全部抜け落ちてしまう!」と心配する人がたくさんいます。こうした人に、"予防のため"と称して自毛植毛を持ち掛け、食い物にする医師がいます。
この餌食になるのは女性が多いです。薄毛のメカニズムについてあまり知識がなく、情報源も少ないためです。時間とともに彼女たちは追い詰められ、「髪を取り戻すためには何でもする」心理状態になってしまいます。そのため、悪徳医師の格好の餌食になっています。
4.医師や看護師にスキルがないのにメガセッション(大量植毛)を強いるクリニック
大規模なメガセッションやギガセッションは腕のある医師によって初めて安全に効果的に実現されるものです。
しかし、他のクリニックとの競争で、医師たちはその腕もないのに大規模な植毛手術をせざるを得ない状況に追い詰められています。少数の医師たちが大規模な植毛を宣伝文句にしていますが、実際はできるはずがありません。
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(世界的権威が語る)自毛植毛メガセッションの限界
昨今は自毛植毛は"メガセッション"ばやりだそうです。メガセッションというのは一度の手術で大量の移植株を植毛すること。自毛植毛は満足できるボリュームを出すために複数回の手術をすることがあるそうなので、一 ...
そう、詐欺です。患者は享受できないサービスにお金を払わされているのです。詐欺は犯罪です。我々はこのような患者が駆け込んできた場合には、しかるべき公的機関に届け出るよう勧めています。
医師の中には、移植株数を水増ししたり、誤解(優良誤認)を招く写真をわざと使ったり、AGAの進行度を偽ったりして、自分たちの植毛結果を脚色しているものがいます。こうして"盛られた"話は、患者への売り込みに使われたりしています。こうしたウソの結果・患者体験談は決して珍しくありません。
最近、”ライフスタイルリフト”という美容外科クリニックがニューヨーク州に訴えられ和解したばかりです。訴状によると、この会社は、”患者の喜びの声”と称して従業員のねつ造した記事をウェブサイトで公表していたと報道されています。
自毛植毛界は、20年前には想像できなかったような素晴らしい手技や技術を開発してきました。こうした自毛植毛技術の進化は多くの患者さんを喜びを与えてきました。一方で、ほんの一握りの医師がこのような患者を食い物にするような行為を行っており、自毛植毛界の評判を貶めています。
我々は毎日のようにその被害を受けた患者を目の当たりにしています。このような意見を表明するのは気分の良いことではありませんが、こうしたことは誰かが言わなければならないと思い、僭越ながら立ち上がった次第です。医師には倫理観を失わないでもらいたいと思います。
似たようなことが日本でもあります。僕が行ったいくつかの自毛植毛クリニックでも、例えば、薬物療法の説明もなく、最初から最後まで自毛植毛の説明しかしないクリニックや、やたらとメガセッションを押してくるクリニック、どのくらい植毛するか医師でもないカウンセラーが決めるクリニックがありました。
そういう目で見てみると意外とまともなクリニックは少ないかもしれません。ぜひ、複数の評判の自毛植毛クリニックを自分の目で見て、吟味してください。
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