【海外文献】キャピキシルの発毛効果、医学界での評価は?

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キャピキシルについて書かれた医学文献を探した所、アメリカの国立医学図書館で1件見つけました。

ただし、これは医師による試験や臨床報告ではなく、この有効成分の開発メーカーである、ルーカスマイヤーが提出したものです。

また、キャピキシルを男性型脱毛症(AGA)や薄毛の治療薬として、またはほかの病気の治療薬として承認している国を探しましたが、見つかりませんでした。

しかし、これを使っているAGA病院がイギリスにありました。

 

ということで、AGAに対する効果を証明する医学的なエビデンスは乏しいのが現状ですが、全くダメというわけではなさそうです。

それでは、唯一の医学文献である、アメリカの国立医学図書館所蔵の資料を紹介します。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23449130

 

キャピキシルとは?

キャピキシルとは、薄毛進行遅延、発毛促進の作用を持つ有効成分として、カナダの製薬会社ルーカスマイヤーによって開発されました。

このキャピキシルは、ヘアサイクルを短縮し、髪の毛のミニチュア化(毛が細く短くなる)を促すDHTを阻害すると共に、毛包の成長に関与する毛乳頭細胞にある細胞外マトリックス成分の再生に関与すると言われています(って難しくて何言ってるか分かりませんが・・)。

また、抜け毛症状を促す炎症を抑える作用も持っています。

こうした作用は次の2つの有効成分でもたらされます。

 

ビオカニンA

赤クローバーから抽出されたイソフラボンの一種で、Ⅰ型、Ⅱ型両方の5α還元酵素を阻害する有効成分として知られています。

AGAの特効薬、フィナステリドのような効果が期待できるってことでしょうか?

さらに、ビオカニンAが炎症を抑える働きがあるとともに、抗酸化物質として働き、肌や頭皮に深刻なダメージを与えるフリーラジカルを抑える役割の可能性があるともいわれています。

「抗酸化」、「フリーラジカル」、よく聞きますが、薄毛との関係はよく分かりませんな。

 

アセチル・テトラペプチド3

この特許を取ったペプチドは、細胞に働きかけて傷の再生を促す作用があると言われていて、毛包に直接働きかけて、毛包の成長を促進し、髪の毛を元気にして増やしてくれると考えられています。

 

ここまでの感想何か、毛に良さそうなものが入ってるというのは分かった。中にはフィナステリドみたいな働きをするものもある?なんとなーくすごそうです。

 

キャピキシルの臨床試験とは?

キャピキシルの効果について試験管レベルでは証明されていたので、この試験では実際に人間が利用した場合の効果を検証しています。

また同時に、安全性も評価しました。

 

試験方法

30人が試験に参加しています。平均年齢は46才と意外と上の年齢ですね。

この30人を2つのグループに分け、15人はキャピキシルのローションを使う人たち、残りの15人は偽薬を使う人たちとしました。利用期間は4か月間です。

キャピキシルのローションは、5%キャピキシル、20%はアルコール、75%は水からできていました。偽薬の方は20%アルコールで80%は水でした。

この薬、偽薬を毎晩、20滴、頭皮に指先で塗りこむように塗布しました。

効果の測定方法は、トリコスキャンという機械を使って行われました。

この機械はいわゆるマイクロスコープのように拡大鏡のついたカメラで、写っている範囲の髪の毛の総本数や、成長期にある髪の毛の本数、休止期にある髪の毛の本数をカウントすることができます。

トリコスキャン トリコスキャン2

 

豆知識髪の毛の成長は、成長期(数年)→退行期(数週間)→休止期(数か月)という2~7年のサイクルを繰り返しています。

成長期に髪は伸び、太くなりますが、AGAの人はこの成長期が短くなり、休止期が長くなります。

結果、AGAの人の髪は、細く、短くなり、すぐに抜けてしまいます。

AGAのヘアサイクル

 

効果の指標

1.8cm2と小さいエリアの髪の毛を剃り、そこに薬(または偽薬=ただのアルコール水)を塗布します。

で、4か月の間に、その狭い範囲で、成長期にある髪の毛、休止期(退行期)にある髪の毛、それぞれの割合がどう変化するのか、キャピキシル使用グループと偽薬使用グループで比べています。

 

試験結果は?

偽薬グループよりも、キャピキシルを使っていたグループの方が良い結果が出ました。

 

分析①:成長期の髪を増やす

1.8cm2の中の成長期の髪の毛のが偽薬グループでは2%減少していたのに対して、キャピキシルのグループは13%増えていました。

つまり、キャピキシルは毛包を活性化して、成長期の髪の毛を増やしたってことです。

キャピキシル効果

 

分析②:休止期の髪を減らす

今度は、休止期にある髪の毛を2つのグループで比較したところ、偽薬グループでは23%休止期の髪の毛が増えたのに対し、キャピキシルのグループでは29%休止期の髪の毛が減りました。

キャピキシル効果2

 

分析③:成長期÷休止期の割合が増える

この「成長期にある髪の毛」と「休止期にある髪の毛」の割合の変化を見てみると、偽薬グループでは33%減少したのに対し、キャピキシルを使った方の人たちの場合は46%増えています。

キャピキシル効果3

 

この③の”割合の変化”が分かりずらいんですが、要するに、キャピキシルは成長期の髪を増やしたり、休止期の髪を減らしたりする働きが偽薬よりも高かったとして、髪の毛の成長を促し、AGAを抑える効果が証明されたとしています。

 

キャピキシル効果4

 

 

個人的な感想

この試験、分かりにくい!

諸悪の根源は分析③!この③の分析結果をもって"AGAを抑えた"としているので、この文献上は必要なんでしょうけど、なぜ、こんな"比率"を使ったトリッキーな分析をする必要があるんでしょう?

①と②が示せていればシンプルに、"AGAを抑えた"って言えるじゃないですか!

と思って、昔、製薬メーカーにいた"素人知識"で裏読みすると・・・

①と②で「増やす」、「減らす」としていますが、その増減は統計的には有意な差でなかった=誤差範囲だったんじゃないでしょうか?

そこで、ムリヤリ有意差を出すために①と②の"チョットの差"を倍増させる③の分析をやったのでは?

と思ってもう一度、棒グラフみると、グラフの右下に「p<0.05」と有意検定の結果が載っているのは③のグラフだけであることに気づきました(上のグラフ画像を見てください)。

やはりそうでした。①と②は証明できてません。だから③をやったんです。③がなければ「効果なし」だったんです。

 

別の見方をすると、①と②が有意差にならないのは試験規模が30人と小さいからです。

30人というのは統計的なサンプル数の最少数です。なんでこんなに少ない人数でやってるのでしょう?当たり前ですが、チョットの差でも有意差を出そうとするなら人数を増やした方が都合が良いのに。

でもそうしていない。それは、そうやったのかもしれないけど、うまく行かなかったからではないでしょうか。

つまり、この最少人数の試験は、たまたま"やたらと効いた"人の割合が高くて特異な結果が出ただけだったのでは・・・。

って疑いたくなりますなあ。

 

と印象はあまりよくはありませんが、どういう分析であれ、"効果あり"の結果が出たことは"事実"です。

 

キャピキシルを処方している病院

このキャピキシルを配合した育毛剤を病院で販売しているのが、イギリスはロンドンのThe Brighton Hair Loss ClinicというAGAクリニックです。

こちらの病院では、低出力レーザー治療ミノキシジルと並んで、キャピキシルを配合した育毛剤を処方しています。

なお、残念ながら、どのくらい効果があったのかを示す臨床データは載ってませんでした

 

まとめ

効果や安全性に関しては一つだけ30人の臨床試験がありますが、それ以外はまだ医学界では取り組まれていません。ただ、一応、その唯一の試験では効果があるとの結論が出ています。

医師の処方薬ではないので、フィナステリドミノキシジルのようなAGAに対する高い発毛効果は期待できないかもしれませんが、

どうしても病院には行きたくない!

という人には、試してみる価値があるかもしれません。

 

蛇足ながら・・色々と突っ込みどころのある試験結果しかない"キャピキシル"ですけど、でも他の怪しげな育毛剤の成分に比べたらマシ。少なくとも試験結果を正直に公表していますからね。

本当にインチキなら試験結果なんて出しません。

専門家に突っ込まれて"効果なし"どころか、"試験自体インチキ"と判定されたら終わりですから。

そういう意味では、まともな方でしょう。だからイギリスの病院も採用してるのかも。

 

キャピキシルを使った商品

Deeper 3D

キャピキシル5%に、リデンシルも5%配合しています。いわゆる薬ではない有効成分としては一応エビデンスのあるもの2つを組み合わせてます。

さらに、8種類の成長因子というものが入っています。病院ではメソセラピーの成分として有名なもの。

これが頭皮に入れば効きそうですが頭皮に浸透させるのは相当困難・・と思ってたら、さらに、「Deeprバリアスルー」という商品があり、これと併せて使うと頭皮への浸透が高まるとのこと。

よく考えられてます。

価格は、「Deeper 3D」と「バリアスルー」をセットで、合計17,644円。これで1か月分ですから、安くはありません。

 

バイタルウェーブ

これもキャピキシルを5%配合しています。さらにリデンシル成長因子が配合されている点でDeeper 3Dと同じですが、リデンシルの濃度が不明です。

この育毛剤の特長は、医師が開発した育毛剤で、頭皮にいかに浸透させるか、にもこだわった商品であるところ。

なんでも、「浸透ブースター」と言う成分が入っていて、これが頭皮の奥まで浸透するのを助けてくれるとか。

バイタルウェーブ

 

バイタルウェーブは1本11,880円、とちょっと安いです。

 

最後に、代表的なAGAクリニックの1か月の治療費との比較表を載せておきます。

商品名/クリニック名 1か月分費用
Deepr 3D 17,644円
バイタルウェーブ 11,880円
湘南美容クリニック 12,800円
AGAヘアクリニック 15,500円
ゴリラクリニック 17,280円

*ここでAGAクリニックの治療費としているのは、フィナステリドミノキシジル+育毛サプリメントの3種薬剤セットの1か月分の薬代です。

 

空
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