「薄毛治療*、AGA治療」と言っても日進月歩。街の病院でも受けられる薬物療法から、専門病院でしか受けられない「毛髪再生医療」まで、さまざま。
結局どれを選んだらいいのでしょうか?
そこで、薄毛治療の専門病院を20カ所さまよった経験と、アメリカのコロンビア大学医学部教授のバーンスタイン氏の最新知見に基づいて、
- どの病院も採用している王道のAGA治療から、
- 一部の病院で行われている世界最先端の治療
- それに家でもできるアメリカで人気のAGA治療まで
紹介します。
それではまず、王道の標準治療から。
*この記事は薄毛=AGAとして書いています(「薄毛の95%はAGA」by メンズサポートクリニック)。自分がAGAかどうか知りたいならこちらも。
標準的なAGA治療とは?
AGA病院は数多くあれど、してもらえる治療は、実は似通っていて、ある種パターン化されています。
"標準的な"AGA治療は、大きく分けて3つ。
- 薬物療法(フィナステリド+ミノキシジル)
- メソセラピー
- 自毛植毛
1.薬物療法(フィナステリド+ミノキシジル)
AGA治療と言えば、まず挙げられるのが薬物療法です。
病院に行けば、十中八九、薬物療法を勧められるはず。なぜなら、最も安価で、効果が高く、安全性も確認されているAGA治療だからです。
その時に処方される薬は、フィナステリド(代表的な商品名:プロペシア)とミノキシジル(代表的な商品名:リアップ)という成分の薬で、どこのAGA病院でもほぼ必須。
多くの医師はこの組み合わせで9割以上のAGAを抑える効果が期待できると言っていましたが、
フィナステリドとは?
この2つの薬のうち、最も重視されているのがフィナステリドという飲み薬。
この薬は、AGAの原因物質(DHT)を作らせないことでAGAを根本的に抑える作用を持つので、ほぼ100%近い効果(=AGAの進行を抑える効果)を発揮します。
この写真は、フィナステリド単独で1年間治療した23才の人のビフォー&アフター写真です。
それだけに、
と言い切る医師もいました。
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フィナステリド(プロペシア)とは?
日本ではもちろん世界中で使われているAGA(男性型脱毛症)治療の標準薬。 日本でAGA治療薬として承認されたのは2005年です。正式な効能効果は、「男性における男性型脱毛症の進行遅延」です。 世界で最 ...
最近では、より高い効果を期待してフィナステリドの代わりにデュタステリドという成分の薬(商品名ザガーロ)を使う場合もあります。
メーカー発表の数字では、その効果はフィナステリドの約1.6倍とのこと。
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デュタステリド(ザガーロ、アボルブ)とは?
前立腺肥大症や、AGA(男性型脱毛症)の治療に使われる薬で、発毛・育毛効果がフィナステリドよりも効果が高いってんで、AGAクリニックでも人気ですね。 日本での発売は、前立腺肥大症の薬としては「アボルブ ...
ちなみに、
と思う人もいるかもしれませんが、僕の会った医師、全員が反対しました。
ミノキシジルとは?
ミノキシジルという成分は、大正製薬のリアップにも使われているものです。
と聞くと
と思うかもしれませんが、日本皮膚科学会が先ほどのフィナステリドと共に、最も勧められると認めた成分で、フィナステリド同様、9割以上の効果が証明されています。
その作用は、フィナステリドやデュタステリドとは別のもの。
ミノキシジルは元々、高血圧の薬で血管を拡張して血のめぐりを良くする作用を持っています。そのため頭皮の血流を改善し、毛根への栄養や酸素を増やすと考えられています。
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ミノキシジル(ロゲイン、リアップ)とは?
「壮年性脱毛症における発毛、育毛および脱毛(抜け毛)の進行予防」という効能効果を持つ発毛薬で、日本ではリアップの名前で大正製薬が1999年に塗り薬(外用薬)で発売しましたね。 ミノキシジル自体は世界9 ...
フィナステリドvs. ミノキシジル、どっちを使うべき?
ミノキシジルは、フィナステリドやデュタステリドとは作用が異なるので、どちらか一方というより、両方使うのが良いみたいという事で僕も両方使っています。
(3年3か月フィナステリド+ミノキシジル使用)
(1年9月フィナステリド+ミノキシジルで治療)
AGAクリニックと一般病院での薬物療法の違い
こうした薬物療法は、街の皮膚科の病院でも出してくれる所はありますが、AGA治療の専門病院になると、薬のバリエーションがケタ違いに増えてきます。
例えば、AGAクリニックだと、一般病院には置いていないフィナステリドの"塗り薬"もありますし、同様に普通は塗り薬しかないミノキシジルの"飲み薬"(通称ミノタブ)もあります。
また、AGAクリニックなら、フィナステリドはプロペシアという商品だけでなく、後発品(ジェネリック/安い)のフィナステリド錠(ファイザー社製)等も置いてます。
ミノキシジルの外用薬にしても、様々な濃度のものが用意されていて、3%くらいのものから、5%、8%、10%、15%など症状に応じて出してくれる所もあります。
さらに、大手の総合美容外科クリニック系のAGAクリニックでは、フィナステリドやミノキシジルに、そのクリニック独自の成分を混ぜたオリジナルの薬を処方してくれる所が多いです。
2.毛髪再生メソセラピー
これは、一般病院では受けられない治療法。
頭皮の薄くなったところに有効成分を注射する施術方法で、毛髪再生医療の発想を応用した治療です。
多くのAGA専門病院で、薬物療法と共に「効果を早く出すための治療」としてすすめられるか、薬物療法で効果の出なかった人に提案されます。
注入する成分は各病院が独自性を競っていますが、一番多いのは、成長因子という成分で、毛を成長させる細胞の増殖を促します。
この成長因子は1種類ではなく何種類もあり、それらの組み合わせも病院によって違っていて、素人ではどれがどう良いのか判断がつきませんが、実績で言うと、HARG(ハーグ)療法というのが有名です。
その効果は4回の注射後、効果に満足した人の割合が94.4%に上り、ある種、メソセラピーの"ブランド"となっています。
そんなに効果が高いなら誰もがやってみたいところですが、実は、HARG療法は治療費が高く、誰もが手を出せる額ではありません(100万円以上)。
そこで、各病院はHARG療法に代わる、もっと手頃な費用でできるメソセラピーを競って開発していて、大手のAGA病院のものなら、費用は1/2~1/4なのに、効果はどこも9割以上とHARG療法とそん色ない所まで来ています。
なお、効果を90%以上と書きましたが、複数の病院の医師が"ぶっちゃけて"くれたところでは、"目に見えて増えた"人の割合で言うと、
ちなみに、注入方法は、注射がメインでしたが、今では電流の力で頭皮の細胞に隙間を作って流し込む方法や、ガスの力で押し込む方法など痛みの少ない方法も用意されています。
3.自毛植毛
こうした人は、自毛植毛がおすすめです。
"植毛"と言うと、「見ればすぐ分かる。バレバレ」とか、「すぐ抜ける」とか、ネガティブな印象がありますが、ぜーんぶウソ。
今の植毛技術はホントにすごいです。
近くで、じーーーーーーーっと見ても分かりません。
さらに、一度植えたらほぼ一生はえ続けます。植毛は、毛を植えるのではなく、毛を作っている毛穴の組織ごと移植するものだからです。
僕は期待通りに"フサフサ"にならなかったら最終手段として全然「アリ」だと思ってます。
薄毛に悩んでいる人は話だけでも聞きに行った方が良いです。
と思えるだけで、気が楽になります(なりました)。
以上説明した3つの治療法が、現在のAGA治療で王道の選択肢です。
- 薬物治療:フィナステリド(orデュタステリド)+ミノキシジル
- メソセラピー
- 自毛植毛
効果が出るまでの期間は?
どんなAGA治療でも、
今日治療して、1,2週間後に目に見えて効果が!
なんてことはありません。
だいたい、毛の伸びるスピードは1日約0.3㎜。そんなに早く伸びませんので、目に見える変化は表れにくいです。
じっくり、焦らずが基本です。
薬物療法
効果を見極めるためには、
という病院が多かったです。
これは、毛の生まれ変わりのサイクルが、2~6年と長期間にわたることを考えると、全部の毛が生えそろうのにはそれくらいの期間かかるのは、納得です。
(フィナステリド+ミノキシジル13か月治療の27才)
メソセラピー
薬に比べて早く効果が出ます。
例えば、HARG療法の場合4回目までで9割以上に効果が表れています。
通常のメソセラピーは月に1回、HARG療法は3~4週間に一回の治療ですので、3~4か月で効果が出ることになります。
なお、メソセラピーは、薬の服用と同時に始めることを勧められ、僕の経験では、治療期間は半年(6~8回の注入)が一番多かったです。
自毛植毛
植えた短い毛が全部きれいに生えそろうのに1年近くかかるとみてくださいとのことでした。
と思うかもしれませんが、まず、植えた毛は数㎜の短い毛なので「スゴイ増えたね」となるほど目立ちません。
さらに多くの場合、植えた毛は1~2か月で抜けてしまいます。もちろん、また生えてきますが、それが長く伸びるのに、8か月~1年はかかることになります。
通院頻度
メソセラピーなど病院での処置が必要な場合でも、先ほど説明しましたが、1ヶ月に1回程度。
薬を処方してもらうだけなら、一度に数か月分出してくれたり、テレビ電話で診察してくれる病院もあるので、遠方に住んでいて通院が大変な人は、「半年に1回くらい」なんて人もいるそうです。
AGA治療は一生続けるの?
1~2年でフサフサになった後でも、現状を維持するために、少なくともフィナステリド(またはデュタステリド=ザガーロ)は服用し続けることを、ほとんどの病院で勧められるはずです。
と聞くと、
と気が重くなるかもしれませんが、どうしてもイヤなら飲まなければ良いだけの話です。
という病院もありました。
結局、薄毛をいつまで深刻にとらえるか、ということです。
複数の病院で質問しましたが答えはバラバラでした。
結局、飲むも飲まないも僕たち次第。たとえ、飲まなくても対処のしようがある、いう事です。
AGA治療の費用は?
薬物療法の費用はどんどん下がっています。新しいAGA治療専門病院の参入で競争が激しくなってますし、フィナステリドはジェネリックも出たためです。
なお、薬物療法などAGA治療は自費診療です。つまり全額、自己負担。
どこでも、自費。全額自己負担です。
薬物療法の費用 = 3千円/月~
フィナステリドだけなら、最も安い所で1か月3,000円で受けられます。デュタステリドだと1万円前後とちょっと上がります。
これにAGAクリニックでは標準的な処方薬であるミノキシジル・タブレット(飲み薬)を足すと、+1万円くらいかかると思っておいた方が良いですね。
メソセラピーの費用 = 10万円~
注入する成分が違うので、単純に比較できないですが、月に1回の注射で、最も安い所で2万円弱(銀座総合美容クリニック)、最高で10万円以上かかります(HARG治療センター)。
この注射を、多くの場合、6か月で6~8回やりますので、総額で10万円~100万円くらいかかることになりますね。
自毛植毛の費用 = 50万円~
自毛植毛は、手術の方法や、植毛数によって費用が変わります。
そこで、ここでは、手術方法別に、最も多い1,000株を植毛する場合で計算してみました。
なお、1株≠1本ではありません。
株というのは毛穴組織のこと。毛穴一つには、髪の毛が2~2.5本生えています。
なので、1,000株の植毛では、2,000~2,500本の髪の毛が増えることになります。
FUE法の場合
今最も人気のあるメスで切らないタイプの手術方法、FUE法の場合、1株を植毛するのに1,000円~1,200円かかります。
通常1,000株~1,500株は植毛しますので(下の人で1,267株)、100万円以上は掛かります。
これに基本治療費というのがプラスされるところが多いです。大体20万円です。
FUT法の場合
世界的には標準的な術式であるFUT法(メスで切る方法)の場合、1,000株で60万円くらいからとずいぶん安くなります。
ロボットFUEの場合
FUE法は、移植毛を採取するのに、メスで頭皮を切り取るのではなく、毛穴一つ一つを特殊な機械でくり抜いていく手術方法なので、大変です。労力も時間もかかるし、難易度も格段に上がります。そのため、治療費が高くなってしまいました。
という事で開発されたのが、ロボットによるFUE手術。これにより、大幅に、コストダウンしました。
日本では湘南美容外科クリニックや聖心美容クリニックが導入していますが、1,000株で888,000円と"人間の手"でやる場合より7掛けくらいで収まります。
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AGA治療の副作用は?
素人の僕が言っちゃいけないんですけど、僕が医師に直接聞いた限りでは、ネットであおられているほど扱いにくい薬と考えてはいなかったですね。
少なくとも2017年時点ではそうでした。基本「何かあったらやめれば治る」。
例えば、フィナステリドに関してネット上だと「性欲がなくなる!」とか、「たたなくなる!」とか言われてますけど、
ちなみに、私の場合は全く衰え知らずです 😛 。
ミノキシジルの多毛症は、
ちなみに、僕も生えました。特に手や指毛がスゴイ。薬を飲むのを止めれば治るそうです。
医師によっても考え方が違うので、みなさん、直接医師に確認してくださいね!
世界のAGA最新治療!
ここからは、アメリカはコロンビア大学医学部教授のバーンスタイン氏の発表を元に、日本にも上陸している最新AGA治療を紹介します。
ケラステム
現代医療では毛根の死んだ場所からは髪の毛を生やすことはできません。しかし、医療の最前線では、毛根の再生を目指して様々な研究が長年、重ねられてきました。その内の一つがヘアクローン技術です。
これは、幹細胞という、将来どのような臓器にも分化するという万能細胞を、毛根の細胞から採取し、試験管の中で培養して(たくさんの"クローン"を作って)、改めて薄くなった頭皮に戻し、毛根の再生を促そうとするものです。
しかし、今までうまく行った例がありませんでした。
その中、今注目されているのがこのケラステムです。詳細はこちらの記事に譲りますが、自分のお尻から脂肪を取って、そこから幹細胞を取り出し、頭皮に注射する治療方法。
これまで、スイス、イギリス、アメリカ、そして日本で臨床試験が行われ、フィナステリドよりも増毛した、というようなポジティブな結果が報告されています。
なお、日本では、唯一、聖心美容クリニックがこの治療の施設として指定されています。
低出力レーザー治療
今まで紹介してきたのはすべて、病院に行かなければできない治療でしたが、これは家でできるAGA治療、薄毛治療になります。
アメリカではFDA(アメリカの厚労省)が認可した、れっきとした医学的な裏付けのある治療方法。
日本でも2017年に改訂されたAGAの診療方針の中で、自毛植毛と並ぶ推奨度Bの治療法とされていますのでその効果はお墨付き。
元々、美容外科医の間で、レーザー照射をした患者で、なぜか毛が濃くなる人がいる、ことが経験則として分かっていましたが、その副作用を逆手にとって「発毛に活かせないか」という事で考え出されたのが、低出力レーザー治療です。
詳しくはこの記事を読んで欲しいのですが、その効果は90%を超え!。他の薬剤による治療と比べると、
とする報告もあります。
アメリカでは病院でも、家庭用の医療機器としても、普及しています。
日本では、AGA病院ではあまり採用されていませんが、AGAスキンクリニックで機器を販売しています。25万円です。
また、家庭用の機器としては、有名どころは、アメリカでも有名なヘアマックスという商品があります。価格は3万円台から10万円まで商品によって違います。
それなりの額しますが、「数年は壊れませんし保証もあります(ヘアマックス)」という事なので、病院に行くことを考えたら、安いかもしれませんね。
SMP
髪の毛を確実に増やす方法はなんでしょうか?
絶対に増えるのが、カツラ・ウィッグ、増毛、ミリオンヘアーですよね。
現代ではこのSMPという方法が開発されています。これは、言ってみれば、医療用のタトゥー。
でも、この写真を見てもらえば、その「増えてる感」、「バレなさ度」が分かると思います。非常に精巧なため、パッと見、入れ墨とは分かりません。
もちろん、近くでじっと見られたらバレる可能性はありますが、傷で禿げた個所を隠すなど、部分的にやる分には非常に効果的な方法として、注目されています。詳しくはこちらの記事。
この領域で力を入れているのは、ヨコ美クリニックです。